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演劇を見たままの感想を綴ろう


by engekistep

葵上  

アンドロ・ヌード・ポーズ 公演  「葵上」
作・三島由紀夫  演出・萩原興洋
8月26日 19時・21時  27日 19時   場所 山梨市 櫂

出演・河原地錻 小林由季 玉乃屋マチ子 萩原興洋


 8月に見た芝居の感想を10月に書いている。ちょいと手を抜きすぎだ。第一忘れてるだろう、と突っ込みを入れられそう。
 先日もとあるお方から今回の感想を早くUPせい、と催促があった。読んでいただいているというのは嬉しいものだが、自分は不器用なのよ。あれもこれもできましぇん・・・

 で、葵上。
 三島由紀夫の近代能楽集のひとつで、元々あったのに三島が大きく手を入れ三島流の本に仕立てた物。
若林光の妻、葵は、病に倒れ入院。駆けつける光。光は美しい男であり、葵の世話をする看護婦も光との会話に心乱している。
 看護婦によると、毎夜同じ時間に葵の元を訪れる婦人がいるという。不振に思う光。
 そしてその時間になり、現れたのは、昔光と関係のあった六条康子であった。
康子はこうやって毎夜葵を尋ねて来ているという。それは見舞いではなく、葵を追い込むためだという。戸惑う光だが、次第に康子の怪しい雰囲気に引き込まれていく。
 忘れ物をした康子に電話する光。ところが康子は家から全く出ていないという。では今までここにいた康子は・・・

 今回は、主メンバーの3人に、新人の玉乃屋マチ子が葵役として参加。幕開けから思ったのは、「興洋が光かいっ!」と思わず笑ってしまったのだ。
 これは良いとか悪いという意味ではなくてね。興洋とはただ単に知り合いっていう形の繋がりではなく、同じ芝居を作った仲間としての感覚が強くある。昔の興洋なら何の違和感も無かったのだが、それなりの年齢になった興洋であり、光というキャラが女を強く引き寄せる魅力のある美男子であるイメージが強かったもの。だから、お互いに歳を取ったのだなあと、役うんぬんではない部分で見てしまった。
 くれぐれも言いますが、興洋が光に相応しくないとか、美形でなければと言っているわけではないのです。
 これを前置きとして・・・
 見てない、知らない人には暴露しますが、康子は実は生霊なのです。康子の光への思いが強く、生霊となってまで、葵を苦しめ、光を奪い返したいという話なのですな。
 ってことは、前置きとして、生霊となってまでも逢いたいと思える男でなければならないのですな。顔が美しいとか足が長いだけではジャニーズでさえ生き残れないのです。
さて、そこまでの想いにさせる光の魅力を、今回はどういう形で作っていたのでしょうか。
 世の中は不思議なものですなあ。何故あんなブ男にあんな美女が、というのを良く見かけます。ホストクラブのナンバー1になった男なら、何人もの女性をはべらせて生きていくのはある意味仕事でしょうが。
 で、興洋。興洋がブ男だと言う気は全くありません。それどころか、とても面白い男であり、かれの魅力は沢山あります。でも。
 今回の光は、それだけではちと悲しい。

 今回のは、とても分かりやすい芝居だった。身体のテンションだけで表現しようとした前回の葵上との比較でも、表現したい主題を大事に演出した方法はとても評価したい。その理由のひとつは、主メンバー2人と、他の役者との身体能力の差にある。
 過去のアンドロは、役者の能力に差がありすぎた。表現活動としては、一番良い表現を出来る役者のレベルに合わせて作っていくのが理想だとは思う。でも、その理想のあまり、そのレベルに達しない役者があまりにも下手に見えてしまうのだ。
 看護婦と光の絡みのときも思ったのだが、差があるなら、彼女には同系の動きではなく、軟体系のぬめっとした動きを目指したほうが、不気味さが出て良かった・・・・かもしれない。と勝手に思った。
 
 良いのは会場とセットと、演ずるエリア処理かな。芝居って、何も無いほうが想像力かきたてられていいんだよね。金かけたからって良い芝居が出来るとは限らない。
 アンドロはそういう意味でも刺激をされるんだ。
 
by engekistep | 2006-10-05 13:59 | 演劇